前屈は立位のポーズも座位のポーズもそれぞれに多くのポーズがあります。
概して、前屈は感覚器官(視覚や聴覚)を内側に向け、外的刺激への関心を減退させることによって、リラクセーション効果も高めてくれます。心を落ち着かせ、心拍数を落とし、神経系を鎮めてくれるのです。また、背中のゆがみや凝りが楽になるので腰痛にも効果が期待でき、ひざ裏が伸びるので足のむくみ解消にもなるとされています。
前屈は体を伸ばしたり、持ち上げたり、ねじったりと、全身をくまなく動かした後に組み入れるとなお効果的なので、自宅ヨガされる場合は、ポーズの後半に取り入れてみてください。
今回は座位の前屈3ポーズを紹介します。前屈は、テレビを見ながらでも簡単にでき、続ければ少しずつ曲げられるようになるので、気長にトライしてみてください。
Contents
背中を伸ばすポーズ(パシュチモターナーサナ)
坐った前屈の代表で基本となるポーズです。長坐から、ある程度骨盤が前傾させられる方には最もおすすめの前屈ポーズ。多くの場合、背中を丸くして肋骨とお腹を圧迫し、呼吸をとめてしまいがちなので、できるだけ肋骨を広げるようにしながら前に伸ばしながら倒していきましょう。
ポーズの効果
- アキレス鍵・腿の後ろ・お尻~腰・背中・首筋に渡る体背面のストレッチ
- 精神安定、不眠改善、自律神経の不調、足腰の疲れ、坐骨神経痛の緩和
ポーズの注意点
- 骨盤が後ろに逃げてしまう場合は、ブロックや毛布の上に座るように
- 腰や膝裏が痛まない範囲で前に倒すこと
ポーズの流れ
- 両足を前に伸ばして座り、爪先を天井に向け、アキレス腱・脚の裏側全体を伸ばします。腰を伸ばし、背筋を上から引っ張られているよう真っ直ぐに立てましょう。足の親指を各手で握ります。届かない方は、届くところに手を置きましょう。
- 息を吸いながら、背骨をまっすぐに伸ばし、肩の力を抜きながら胸を開きます。お尻は後ろに引っ張るようにします。
- 息を吐きながら、上体を伸ばしたまま前に倒していきます。膝は曲がったり、開いたりしないように。骨盤から前に倒し、吸う息で伸び、吐く息で緩み前に倒れこむように、呼吸と共にポーズを深めていきます。脚裏、背中が伸びているのを感じて下さい。
- 息を吸い、上体をゆっくり立てていきます。足先を持った手を離さず、2の姿勢に戻ってから、手を離し脱力、リラックス。
頭や膝をつけるポーズ(ジャーヌ・シルシャーサナ)
片脚前屈の最も代表的なポーズ。片足を曲げ膝を開き、もう片足は伸ばす前屈です。このように左右の形を違えるポーズは、体の歪みチェックや修正にも利用できます。両脚で行うポーズより、ストレッチ強度が強く片脚に負担がかかり、太腿後ろの筋肉を痛めやすいので、十分なウォームアップの後、深い集中と共に行うように。
ポーズの効果
- 背骨・肩・ハムストリングス・内転筋群のストレッチ、脚・お腹の引き締め
- 肝臓・腎臓・前立腺の活性化、消化機能改善
- 脳の鎮静と軽いうつ、疲労、頭痛、月経時の不快症状の緩和促進
ポーズの注意点
- 膝に故障がある場合、その膝を折り畳んだブランケットの上に置き、膝を曲げきらないこと
- 体が前かがみになりやすいので、常に肋骨を引き伸ばす感覚で行うこと
ポーズの流れ
- まずは左の前屈から。両足を伸ばして座り(長座)、右足を曲げ、膝を外に倒し、踵を太ももの付け根につけます。このとき、曲げた右足の膝は出来るだけ、後ろに開くようにします。
- 両手で左足のつま先をもちます(届かない方は足首などを)。 息を吸い、背を反らせ、つま先を引き、アキレス腱から、脚の裏を充分伸ばしましょう。
- 息を吐きながらゆっくり前屈していきます。左膝が浮きあがらないよう、また後ろへ開いた右膝も床についているのを確認しましょう。左つま先を持った腕の肘はだんだん外へ開き床につくようにします。お腹を左太ももへ、額を左膝につくようゆっくりと前屈していきます。
- 曲がらないところまできたら、吐く息で体の力を抜いていきます。体がさっきより前屈できるので、背骨を伸ばすようにしていきます。そこで静かな呼吸を数回繰り返し、ポーズを維持しましょう。
- 息を吸いながら、上体をあげていきます。いったん2の姿勢をとり、息を吐きながら、足先から手を離し脱力、リラックス。右の前屈も同様に行なって下さい。
合せきのポーズ(バッダ・コーナーサナ)
足裏を合わせ膝を大きく開いた坐法、合蹠(がっせき)坐からの前屈です。股関節を調整する代表的なポーズ。力任せに膝を広げ、前屈する人が多いので、身体の声を聞きながら、何十分でもキープしていられるような姿勢で呼吸を深め、緊張部位をゆるめることでポーズを深めていくように気をつけましょう。
ポーズの効果
- 内腿・ヒップ・下腹の引き締め
- 股関節の柔軟性の強化
- 坐骨神経痛、生理痛、生理不順、便秘、冷え性緩和
ポーズの注意点
- 股関節を無理に開こうとすると痛めるので注意すること
- 左右の坐骨がしっかりと床を押している状態にし、実感すること
- 肩をリラックスさせておくこと
ポーズの流れ
- 両膝を曲げて床に座り、息を吐きながら、両膝を左右に広げて床に近づけ、足裏を合わせていきます。
- 息を吸いながら、両足を手前に軽く引き寄せ、背中を伸ばし、首筋を伸ばし、胸を広げましょう。肩の力を抜き、腕が自然に垂れるようにし、手は膝の上に置きます。
- 次に、両手で足を包むように持ち、息を大きく吸いながら、胸を開き背を反らせます。膝はなるべく床に押し付けて。
- 息を吐きながら、前屈をします。体は骨盤から前に倒すようにしていき、脚は後ろに回すイメージで。股関節を支点とした前屈です。肘を曲げ、脛(すね)の上に置き、膝が上がらないようにコントロールしましょう。それぞれ体を倒せるところまで前屈したら、姿勢を維持。肛門、骨盤底筋を締めながら、深い呼吸を繰り返します。
- 静かな呼吸を繰り返し、この姿勢で20~30秒キープ。呼吸で弓の体が、張ったり、緩んだりする様子を感じて下さい。息は決して止めないように。
- 最後は息を吸いながら体をゆっくり起こし、息を吐きながらポーズを解きリラックスしましょう。